1. 錯覚への招待
錯覚の科学 ('14)
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知覚:その人独自の体験を能動的に再構成すること
能動的再構成:記憶や推論、判断など人の知的な営みに共通して存在する
錯覚:刺激の客観的性質や関係と著しく食い違うこと
心理的錯覚: 人の内部で起こる錯覚
物理的錯覚: 刺激そのものが変化した結果。一般に心理学対象外。
錯覚の原因として末梢と中枢の対比は最近はあまり考慮されない傾向がある。
光が消えた後の残像:目の特性が深く関わる生理的錯覚
ヘルマン格子(ハーマングリッド):視神経細胞の側抑制というコントラストを強調する性質が作用。
本授業では主に脳=中枢で生じる心理的な錯覚を扱う
感覚器→中枢で処理する段階で再構成が行われる
再構成
不完全刺激の欠損部分の補完・充填=世界を破綻なく理解する ex. アモーダル補完、トロクスラー効果
あえて正しい情報を歪めて再構成する ex. チェッカーシャドウ錯視、他の多くの幾何学的錯視
錯覚
脳のニューロンが生得的に持つ性質と入力された刺激の特質との関係から引き起こされるもの
主体的要因(学習要因)の影響を受けやすいもの
用語整理
認知 cognition : 心の働きをソフトウェアと考えたときの知的な情報処理。代表的な過程は注意や知覚、記憶、思考など。
知覚 perception : 外界を認識する過程。感覚 sensationは感覚器の物理化学エネルギーの受容で、知覚は感覚より高次の処理段階。
錯覚と幻覚の違い:全く外界からの情報なしに生じる幻覚(幻視や幻聴など)は本書では錯覚の異なるものと考えておく
認知的錯覚:広く認知過程全般で起こる系統的で無意識の誤り。一般的な表現の錯覚と区別。
錯誤:思考や記憶の錯覚。
認知バイアス:認知情報処理の歪みや偏り。代表的なものに確証バイアス、自己高揚バイアス、後知恵バイアス
スキーマ:構造化された知識。特定の見方を促進したり制約したりして認知を成り立たせる重要な働きをする
2度目の体験の変化:空間認知の錯覚、時間感覚や記憶の錯覚とも言える。
1度目は目新しいものへの認知的な処理に手間がかかるが、2度目は処理負荷がかからず、楽に処理される(認知的流暢性が高まる)ので距離や時間が短いという錯覚が起こる。